神使の社

◆ 狼 -Okami- ◆

狼と鳥居のイラスト
山の神である<大山祇命(オオヤマツミノミコト)>の神使とされているのが狼。
日本書紀では<日本武尊(ヤマトタケル)>を助けたことから、<日本武尊>の神使とも言われます。
山と関わりが深いため、山間部に鎮座する神社で神使として崇められています。

◆ なぜ狼が山の神の使いなのか

農作が盛んだった古代の日本では、イノシシやシカに農作物を荒らされることが多く、
狼はそれらを捕食する動物だったため、
山間部で暮らす人々にとって、狼は生活支える大切な存在でした。
狼は山に生息していることから、人々は狼を山の神の使いとして考えるようになり、
江戸時代には盗難除け・魔除けの神とする信仰も広まりました。

◆ 盗難・魔除けの神としての狼

山の神の使いとされる一方で、狼の存在自体を「神」とする信仰もあります。
その信仰が広まったきっかけは江戸時代、神の使いである狼を描いた、
猪鹿除け、盗難・火難除けの「御眷属札(ごけんぞくふだ)」
が発行されたことです。
その「御眷属札」が多くの人に受け入れられたことから、
狼を盗難・魔除けの神とする信仰が江戸を中心に中部や東北地方にまで広まりました。

<日本武尊>と関わりが深い神社の1つ、武蔵御嶽(むさしみたけ)神社では、
現在でも狼が描かれた護符やお守りがあり、「お犬さま」として信仰されています。
同じく狼を神使としている三峯(みつみね)神社では、
「御眷属拝借」として、神の使いである狼を1年間お借りすることが可能で、
厄除けとしての狼の信仰は、今でも強く根付いています。